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映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』 感想

いつのまにか、ここにいる_公式イメージメディア感想
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乃木坂映画第二弾。2018-2019の物語

2019年夏に公開された『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46 』 。
前作『悲しみの忘れ方 』 に続く、乃木坂を題材にしたドキュメンタリー映画の二作目だ。
公開時期からわかる通り、乃木坂の歴史としては2015年中盤-2018年中盤程度の期間がごっそり抜け落ちてしまっている。この期間には齋藤飛鳥の初センターや三期の加入、橋本奈々未の卒業など大イベントが目白押しだったので、正直ここでもう一作作っても良かったのではないかというレベルだ。そんなわけで、ファンの期待値としては待望の2作目、なかなかに高まった中での公開だった。

7/5(金)公開/予告編『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』公式

これは誰のための映画なのか?

管理人は劇場では未見であり、昨年末Amazon Prime Videoで配信が開始したので、ようやく観てみた。
映画レビューのスコアがすこぶる悪かったので、劇場での鑑賞は見送ったのだった。
観終わってみて、最初に抱いた感想は「なんじゃこりゃ」である。

公式サイトでのイントロダクションを引用しよう。

前作『悲しみの忘れ方』から4年、乃木坂46 待望のドキュメンタリー第2弾。

エースの卒業をきっかけに少女たちは、自分探しの旅に出るーー。

結成から7年を迎えた2018年9月。22枚目となるシングルの選抜発表の場で、エース西野七瀬の口から自身の卒業が明かされた。いつまでも変わらないと信じていた、しかしいつか失ってしまうとわかっていた、戸惑うメンバーたち。今や自らの予想をはるかに超える人気を獲得し巨大化したアイドルグループ、乃木坂46。その”うねり”の中にいる自分は、はたして何者なのだろうか?

グループの活動と個人の活動との両立に満身創痍になりながらも、卒業の二文字を決して口に出そうとしない者。メンバーと過ごす居心地の良さだけが、卒業しない理由だと語る者。過去から逃げるようにグループへ入り、そして今、再び過去の自分と向き合うことを決心する者……。
エースの卒業をきっかけに自分探しの旅に出る少女たちの心の葛藤と成長をこれまでにない親密な距離感で、物語はつむがれていく。

口にするのは”本当の言葉、こぼれてしまった感情”

監督は、話題のCMやドキュメンタリーを数多く手掛ける、いま注目を集めるクリエーター、 岩下力。乃木坂46関連ではこれまで、ライブの舞台裏を追ったドキュメンタリー映像を制作したものの、メンバーについて多くは知らなかった人物。だからこそ、先入観や遠慮や忖度などは一切なく、興味の赴くまま、停止線の向こう側へも立ち入り、知りたい質問をメンバーに投げかけ、監督の気がすむまで彼女たちの傍らに寄り添った。そうして彼女たちの本音はもちろん、表情や息づかいの変化にいたるまで、余すことなくカメラに収めることに成功した。

これは、あなたがまだ知らない、大切な人が変わりゆく物語。

いつのまにか、ここにいる公式サイト(https://www.2019-nogizaka46.jp/)

イントロダクションにも書いてある通り、監督は乃木坂46のメンバーについて多くを知らない。
これは映画が開始して数分も経たないうちに、監督自身の述懐として字幕で語られる。
監督からすればどういう状況下で撮影されたものか、ということを伝えたいのだろうが、観ている側からしたら単なる保険のための文章にしか見えない。
「変な出来だったらごめんね、でも俺、乃木坂のこと全然知らないで撮り始めたんだよ」と言っているように捉えられてしまう。
観客からすればお金を払って観ているものなので、作品に一定のクオリティを求めるのは当たり前である。それをド頭からこんな保険とも取れる文章を見せられてしまっては、「なんだこれは?」と思ってしまっても仕方がないように思う。

さらに言えば、この作品を観に来るのは恐らく9割が既存の乃木坂46ファンであろう。つまり、ほとんどの人がこの映画冒頭時点の監督より「メンバーについて知っている」わけで、自分たちより対象の詳細を知らないけど撮りました、と言われてしまうことで当然期待値は失われる(そして案の定、この失われた期待値は最後まで取り戻せない)。また、極一部居たであろう、乃木坂46のことをよく知らないけれど観に来たという奇特な層は、序盤から各メンバーの基本情報の説明すらなく、切り貼りされた断片的な構成の映像のせいでどんどん置いてけぼりになってしまう。

そういう意味でこの作品は、誰のために作られたのか?という基本部分から不安のある作品として生み出されてしまったように見える。

一応補足しておくと、これまた監督自身が語っているように、前作の時のような華奢で儚く歪つな状態からアイドルがどのように上り詰めていくかという成長譚ではなく、既に世に認知されトップの座に君臨する完成品としてのアイドルをどう映すかを求められるというのは悩ましかった点であろうとは思う。

しかし…と思わざるを得ないのである。乃木坂46という素材の良さだけで鑑賞を続けられるような、そんな作品だった。

完成度の低さ・主題の不在。山場はなく、切り貼りされた一貫性のなさが目立つ。

本作を改めて振り返ると、前作で描かれたようなメンバーが抱えているフラストレーションや苦しさという部分に焦点が当たらず、ひたすらバックヤード(と一部メンバーへのほんの少しだけ掘り下げた質問)の蔵出し映像を切り張りされて構成されている。そのせいで、作品中は常にあっちこっちに舞台が代わり、一般人が見れない舞台裏の映像の表面を撫でただけで終わるような、ただ見せられているだけのような印象を抱いてしまう。
(そういう意味では前作も良作というほどではないにしろ、松村の不倫に切り込むなど普通にテレビで見るのでは語られない切り口があった)

書いていて思ったが、そういった内容なら特典映像でマネージャー陣が撮影した映像を観るので十分事足りるのである。

本作は、結果的に西野七瀬の卒業をキーに物語が進む(時期的にもそれがメインの材料になるだろう)。言わば『ドキュメンタリー of 西野七瀬の卒業』とでも言うべき内容になっている。しかしその割に、それを主軸と意識して構成していないが故に舞台が寄り道し続けるため視聴後の満足感がない。初めからそこに一本軸を通せばいいのに…と思わざるを得ない。これも前述したとおり、乃木坂46のことを知らないが故に手探りで雑多に撮影し、後でなんとかまとめたんだろうなという印象を抱いてしまう。

そのせいで、 ドキュメンタリーの名を冠しながらもこの映画で何を伝えたかったのかというのがまったく伝わってこなかった。素材の美しさのみでなんとかしました、という感じで、味付けがまったくなかった。

いっそ、昨年夏の全国ツアーで披露された映画テーマ曲の「僕のこと、知ってる?」のライブ演出の方が、数分という短い時間ながらも様々な思いを去来させる点でよっぽど雄弁なように感じてしまった。

スポットライトの明暗。『乃木坂46』を構成しているのは誰なのか?

本作では、 西野七瀬、齋藤飛鳥、生田絵梨花、与田祐希、大園桃子(+4期生の一部)といったごく少数のメンバーにしか焦点が当たらず、他のメンバーは一部メンバーがインタビューで登場したり、映像中に見切れて一言二言喋る程度。
きちんと確認したわけではないが、恐らく劇中で一言も発していないメンバーも多くいるだろう。

描き方として、今の乃木坂46を撮影するなら
『主力メンバー達の相次ぐ卒業の中で、齋藤飛鳥ら既存メンバーや3期・4期の台頭による一つの再生・生まれ変わりの物語』
として構築して、その区切りが西野七瀬の卒業であると位置付けることでそこに山場を持ってくる、と言った方式で撮ることも出来ただろう。

しかし、本作では上述した一部メンバーのインタビュー・掘り下げを雑多に繋ぎ合わせて構成されているせいで、そのインタビューに関連しないメンバーはほぼ出番を得ることができない。(つまり、二期生などほぼ出番がない。『不遇の二期』はここでも存在感を発揮してしまう)

『乃木坂46 』 は全メンバーがいてこそ成立するものであると考える自分からすると、この異様な偏りは(Documentary of 乃木坂46 という乃木坂46というタイトルを冠する作品としては)容易には受け入れられないものだった。

また、乃木坂46を語る上で外せないものの一つには、他の坂道には存在しない(しなかった)アンダーメンバーという存在がある。
彼女達の葛藤・努力という物語は大きなドラマ性があり、いつの時代にも語り草になってきたにも関わらず、この点も(管理人が覚えている限り)まったく触れられない・印象に残ることはない。ファンが肝心である・ここを描いてほしい、深堀してほしいと思う点が軒並み外されていてフラストレーションを感じてしまう。

ファンなら一応観るべき。ただし、期待値は下げに下げておくこと

結果的にだいぶ酷評寄りのレビューになってしまったが、とはいえファンであれば一度は見ておくべきであろう。
切り張りに感じてしまう映像であるとは言え、彼女達の舞台裏での努力(特に生田絵梨花の舞台とライブの両立など)にはやはり驚嘆する点がいくつもあるし、この年代の少女特有の葛藤や悩みも垣間見える。

なにより、映画でしか見られない映像もいくつもある(齋藤飛鳥の長時間インタビューや、西野七瀬卒業ライブの裏側、与田祐希の実家帰省シーンなど)ので、そういった意味ではファン必見である。

レンタル500円くらいなら、まぁ、お布施と思って。。。くれぐれも映画作品としては期待していかないように。

他の人のレビューはこちらから
filmarks いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46

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